北海サポート株式会社

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労働者派遣事業(派01-300396)有料職業紹介事業(01-ユ-300283)

労働者派遣法および関連法制

派遣法とは

派遣労働者の雇用を保護する為に定められた法律です。

正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(昭和61年7月1日施行)と言い、「労働者派遣法」と呼ばれることもあります。この法律には、労働者派遣の対象にならない業務や、契約に定めなければならない事項、派遣元・派遣先が講ずべき措置、その他関係法令の適用などが定められており、派遣労働者を雇用する「人材派遣会社」(派遣元)だけでなく、派遣先となる企業も、この法律を遵守する必要があります。法律の内容を知らずに派遣労働者を受け入れてしまい、後々トラブルになるケースもありますので、事前によく内容を確認しておくことが大切です。

派遣業務が禁止されている職種について

  1. 1.港湾運送業務

    労働者派遣法に基づく労働者派遣事業とは別に、港湾労働法において、港湾労働の実情を踏まえた特別な労働力需給調整制度として港湾労働者派遣制度が導入されているためです。

  2. 2.建設業務

    受注生産、総合生産等その特殊性にかんがみ、建設労働者の雇用の安定を図るため、労働者派遣事業とは別に、建設労働者の雇用の改善等に関する法律において、建設労働者の実情を踏まえた特別な労働力需給調整制度として建設業務労働者就業機会確保事業制度が設けられているためです。

  3. 3.警備業務

    請負形態により業務を処理することが警備業法上求められており、労働者派遣を認めた場合、その業務の適正実施に問題が生ずるためです。

  4. 4.病院・診療所等における医療関連業務

    ただし、以下の場合は可能です。

    • 紹介予定派遣
    • 病院・診療所等(介護老人保健施設または医療を受ける者の居宅において行われるものを含む)以外の施設(社会福祉施設等)で行われる業務
    • 産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務
    • 就業の場所がへき地・離島の病院等及び地域医療の確保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院等における医師の業務
  5. 5.弁護士・社会労務士等の士業務

    弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士の業務や、建築士事務所の管理建築士の業務等(公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士等の業務では一部で労働者派遣は可能)

労働者派遣の期間制限の見直し

平成27年9月30日~労働者派遣法の改正により、新たな期間制限が設けられました。
詳細をご確認ください。派遣労働者の雇用安定を図る為、派遣出来る期間に定めがあります。

同一組織内の派遣期間は最長3年です

1人の人が派遣先の同一組織で働ける期間は最長3年となります。 途中で業務内容が変更になった場合も組織が変わらなければ最長3年に変更はありません。

個人単位の期間は組織毎にカウントされます。別の組織に変わることで同じ派遣先に就業できる場合があります。ただし、事業所単位の期間制限もあります。

事業所単位で制限も

派遣先企業が事業所単位で派遣労働者を受け入れできる期間は原則3年となります。
3年を超えて受け入れるためには、派遣先企業での過半数労働組合等への意見聴取が必要です。
派遣先企業が引き続き派遣労働者を受け入れることになった場合は個人の期間制限まで延長できる可能性があります。

事業所単位の期間制限>個人単位の期間制限

事業所単位の期間制限が個人単位の期間制限より優先されます。
上記図※(点線枠内)のように個人の期間制限より事業所の期間制限が先にくる場合、事業所の期間制限が適用されます。

期間制限の起算日

個人単位、事業所単位ともに、改正派遣法の施行日以降、新たに締結する契約の開始日が、期間制限の起算日になります。
※施行日以前に締結している契約は起算日のカウント対象にはなりません。

日雇派遣・グループ企業派遣の制限

派遣元事業主との労働契約の期間が30日以内の労働者は、労働者派遣が原則禁止されています。
※ソフトウェア開発などの政令で定める業務や、60歳以上の人、学生、副業(生業収入が500万円以上ある場合に限る)として従事する人、主たる生計者ではない人は例外です。
また、派遣元事業主が属するグループ企業への派遣は、全体の8割以下にすることが必要です。

派遣契約の締結

派遣契約を締結する前に、派遣元事業主に対して、事業所単位の期間制限の抵触日の通知を行う必要があります。
派遣契約では業務内容などの他に、派遣先の都合による派遣契約の中途解除の際、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項(派遣労働者の新たな就業機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支払いに要する費用の負担に関することなど)についても定めることが必要です。

なお、派遣労働者を指名すること、派遣就業の開始前に派遣先が面接を行うこと、履歴書を送付させることなどは原則的にできません。(紹介予定派遣の場合は例外)

また、派遣契約にあたっては、指揮命令者・派遣先責任者の選任が必要です。それぞれの役割などについては、以下のとおりです。※指揮命令者と派遣先責任者の兼務は可能

<指揮命令者>
役割:派遣スタッフへの業務指示者
選任対象:派遣スタッフに対し、直接指揮命令する立場にある方

<派遣責任者>
役割:派遣元との連絡調整、派遣スタッフの苦情対応などの窓口
選任対象:人事・労務などの知識を有し役割を的確に遂行できる方
選任条件:派遣先事業所ごとに派遣スタッフ100人につき1名以上

※派遣先が雇用する社員および、派遣スタッフの人数が5人以下の場合は不要

派遣就業にあたって

離職後1年以内の労働者の受入禁止

自社で直接雇用していた労働者(社員・アルバイトなど)を、離職後1年以内に派遣元事業主を介して、派遣労働者として受け入れることはできません。
※60歳以上の定年退職者は禁止対象から除外

社会・労働保険の適用

受け入れる派遣労働者について、社会・労働保険の加入が適切に行われていることを確認することが必要です。

派遣労働者からの苦情処理

派遣先は、派遣労働者からの苦情の処理体制を整備しなければなりません。

労働者の募集情報の提供

事業所で働く正社員を募集する場合、その事業所で継続して1年以上受け入れている派遣労働者がいれば、その派遣先の派遣労働者に対しても、正社員の募集情報を周知しなければなりません。

派遣先の同一の組織単位の業務に継続して3年間受け入れる見込みがある派遣労働者について、派遣元事業主から雇用の安定を図るための措置として、直接雇用するよう依頼があった場合であって、その事業所で働く労働者(正社員に限らず)を募集する際は、その派遣労働者に対しても、派遣先の労働者の募集情報を周知しなければなりません。

派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇の推進

派遣先は、派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を図るため、以下について具体的な行動を行うよう配慮する必要があります。

  • 派遣元事業主に対し、派遣先の同種の業務に従事する労働者に関する賃金水準の情報提供などを行うこと
  • 派遣先の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合に、派遣労働者にも実施すること
  • 派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用機会を与えること

派遣就業にあたって

やむを得ず派遣契約を中途解除する場合は、派遣先の講ずべき措置に関する指針に基づき適切に対応することが必要です。

派遣先の講ずべき措置に関する指針

  1. 派遣先は、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に派遣契約の解除の申入れを行うことが必要です。
  2. 派遣先は、派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要です。
  3. 派遣労働者の新たな就業機会の拍補を図ることができないときには、少なくとも派遣契約の中途解除によって派遣元事業主に生じた損害の賠償などを行うことが必要です。

労働契約申込みみなし制度

派遣先が以下の違法派遣を受け入れた場合、その時点で派遣先から派遣元事業主との労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約が申し込まれたものとみなされます。
派遣労働者が承諾をした時点で労働契約が成立します。
※派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除く。

対象となる違法派遣

  1. 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
  2. 無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
  3. 事業所単位または個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
  4. いわゆる偽装請負の場合

派遣社員の「同一労働同一賃金」について

一般労働者と派遣労働者との不合理な待遇差が禁止に

2020年4月1日施行の改正労働者派遣法により、一般労働者と派遣社員との不合理な待遇差が禁止されました。

同一労働同一賃金とは?

同一企業内における無期雇用フルタイム労働者と、派遣社員・有期雇用労働者・パートタイム労働者の間の不合理な待遇差を解消することを目的として、労働者派遣法やパートタイム・有期雇用労働法の改正が行われました。

主な改正内容

  • 不合理な待遇差をなくすための規定の整備
  • 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
  • 裁判外紛争解決手続「行政ADR」の規定の整備等

派遣社員の同一労働同一賃金について

派遣社員の待遇に対する納得感を考慮する上で、実際に仕事をする派遣先の労働者との不合理な待遇差を解消することは重要な観点です。派遣法では 派遣会社(派遣元事業主)に対して下記のどちらかの方式で派遣社員の待遇を確保するよう義務づけられています。

派遣先均等均衡方式、労使協定方式とは?

北海サポート株式会社の同一労働同一賃金

北海サポート株式会社では 待遇決定方式として原則【労使協定方式】を採用します。

同一労働同一賃金に関するQ&A

「労使協定」とは?

雇用主と労働者の間で協議し、決定した約束事を書面にしたものです。労働者の過半数で組織されている労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する従業員代表者と雇用主が取り交わすことになっています。労使協定にはさまざまな種類があり、派遣社員の待遇を定めるものには「対象となる派遣社員の範囲・職種・契約期間などの基準」「賃金の決定方法」「賃金以外の待遇」等が記されます。
※就業中の方がログイン出来る、派遣社員専用ページにて、ご確認いただけます。

「労使協定方式における一般賃金」とは?

労使協定方式で派遣社員の賃金を決める際、比較対象となる賃金水準です。比較する派遣社員と同等の能力・経験を持ち、同じ地域で同じ仕事をしている正社員の平均的な賃金で、賞与や手当等も含まれます。派遣社員の賃金は、一般賃金と同等以上でなければなりません。

「派遣先均等・均衡方式」、「労使協定方式」どちらの待遇方式を採用するかを派遣社員が選択することができますか?

選択することはできません。
どちらかの方式を適用するかは、派遣元の会社が決定することとなっています。

派遣先によって待遇が変わりますか?

労使協定方式で待遇が定められている場合、同じ派遣元であれば基本的に待遇ルールは変わりません。ただし賃金は職務の内容により変わるため、一見すると同じ仕事のようでも賃金が異なる可能性があります。また、派遣先企業が提供する施設の利用や教育に関しては、派遣先に応じて変更になります。
※派遣先均等・均衡方式の場合、待遇は派遣先に応じて変わります。

労働者派遣法Q&A

「派遣契約」で定める事項について

派遣契約の当事者は、契約の締結に際し派遣法第26条に基づき、個別の派遣就業条件などに関する事項を、都度、具体的に定めなければならず、その契約の内容を書面に記載しておかなければなりません(則第21条第3項)。

また、厚生労働省の「労働者派遣事業関係業務取扱要領」では、「労働者派遣に関する契約については、恒常的に 取引先との間に労働 者派遣をする旨の基本契約を締結し、個々具体的に労働者派遣をする場合に個別に就業条件をその内容に含む個別契約を締結するという場合があるが、この場合、法第26条の意味における労働者派遣契約とは、後者の個別 契約をいうものである。」とされています。

「派遣先管理台帳」の作成・記載・保管

作成・記載 派遣労働者の就業日、就業時間等の実態を的確に把握する等の目的で、派遣労働者が就業する事業所ごとに派遣先管理台帳を作成し、所要の事項を派遣労働者ごとに記載しなければなりません(法第42条、法施行規則第35条第1項)。
なお、派遣先事業所の派遣労働者の数と派遣先が雇用する労働者の数の合計が5人以下のときには、派遣先管理台帳の作成、記載は必要ないとされています(法施行規則第35条第3項)。

保管 派遣先管理台帳は、派遣期間終了日(派遣契約が更新された場合は、更新後の派遣期間終了日)から起算して3年間保存する必要があります(法第42条第2項、法施行規則第37条)。

派遣先の「労働基準法」・「労働安全衛生法」等の責任とは

労働者派遣では、派遣先が派遣労働者に対して具体的な指揮命令を行い、派遣就業環境の管理を行いますので、派遣法では、労働基準法、労働安全衛生法、じん肺法、作業環境測定法、男女雇用機会均等法、及び育児介護休業法の一部事項については、派遣先が使用者とみなされ、責任を負うことが定められています。

時間外労働、休日労働の取扱いと36協定の適用

派遣労働者の労働時間に関しては、業務の指示を行う派遣先が使用者として労働基準法上の責任を負うことになっていますが(法第44条)、派遣先が派遣労働者に時間外・休日労働を命じるには、派遣元において「36協定」が締結されていることが条件となり、その「36協定」で定められた時間数・日数の範囲内で、派遣先は派遣契約に基づき時間外・休日労働を命じることができます。したがいまして、派遣先は、派遣元で締結された「36協定」の内容を、予め確認しておく必要があります。

長時間労働による労働者の健康障害を防止するため、尚一層の措置が求められておりますので、派遣先におかれましても派遣労働者の時間外労働削減の措置を講じていただくようご配慮ください。

「個別派遣契約」に定める以外の業務を命じたり、契約内容を変更することは?

派遣契約を締結する際には、具体的な派遣業務内容、派遣期間・時間などを定めなければならず(法第26条)、また、派遣法は派遣先に対して「派遣契約の定めに反することのないように適切な措置」を講じるよう義務づけています(法第39条)。

したがいまして、派遣先が派遣労働者に指揮命令を行い、就業させることができるのは、あくまでも派遣契約で定められた業務内容の範囲であり、契約業務以外の仕事を派遣先が命ずることはできません。

また、派遣先が派遣労働者と直接協議し、派遣契約の条件変更や、終了するような手続きをとると、派遣先が、本来は権限のない、雇用主が行うべき行為を行うことになり、結果、派遣労働者との間でトラブルが発生することにつながりますので、やむを得ない事情がある場合は、できるだけ早く派遣元に相談して下さい。

「個別派遣契約」を更新又は終了する場合に注意することは?

更新又は満了する場合の注意点 派遣先は、派遣労働者との間に雇用関係はありませんので、直接、派遣労働者と契約の更新や終了を取り決めることはできません。雇用に類似する関係が生じたというような誤解が生じ、トラブルの原因になりますので、派遣先が直接、派遣労働者と交渉を行わないようにして下さい。
派遣法は派遣契約の自動更新を禁止していますので、派遣契約を更新するか、又は、更新をせず終了するのかということを、その都度、派遣先と派遣元の間で取り決め、更新する場合には、新たに期間を定めて派遣契約を締結する必要があります。

更新を繰り返したり、比較的長く継続していた契約を終了する場合 派遣契約の更新が繰り返され、同一の派遣労働者を1年以上受け入れているような場合には、派遣労働者の雇用安定と、派遣先、派遣労働者及び派遣元間の円満な手続きのために、派遣契約期間の更新可否確定を、おそくとも30日以上前には完了していただけるよう、ご配慮下さい。
派遣契約を更新せず、期間満了をもって終了することは、派遣契約の中途解除にはあたりませんが、派遣元は厚生労働省が策定した『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』にしたがい、契約を3回以上更新し、又は、1年以上継続勤務している派遣労働者の契約が更新されず終了する場合には、30日以上前に予告するようにしなければなりません。

派遣労働者からセクシュアルハラスメントの相談があった場合

派遣法第47条の2、派遣法第47条の3により、男女雇用機会均等法及び育児介護休業法のセクシュアルハラスメント、いわゆるマタニティハラスメント等の防止等に関する事業主責任を、派遣先も負います。(2020年6月からは、いわゆるパワーハラスメントの防止等に関する事業主責任を派遣先も負うことになります。)

このため、派遣労働者から派遣先に直接、セクシュアルハラスメントの相談があった場合には、派遣先は、派遣先社員からの相談と同様に、迅速、かつ、適切な対応が求められることになります。

具体的な対応としては、厚生労働省から事業主が講ずべき措置に関する指針が示されており、万一、派遣労働者から派遣先就業上のハラスメントの相談を受け付けた場合は、プライバシーを保護するために必要な措置を講じつつ、派遣先と派遣元が連携して解決を図ることを定めた、派遣法の苦情処理制度にしたがい、迅速にご対応下さい。

なお、派遣労働者から受け付けた相談内容及び対応状況等は、派遣先管理台帳に記録して派遣終了後3年間、保存していただく必要があります。

派遣労働者の妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止

男女雇用機会均等法は、男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図ること等を目的として、母性を保護し、女性が働きながら安心して出産できる条件を整備するため、妊娠中及び出産後の女性労働者の健康管理に関する規定を定めており、男女雇用機会均等法第9条第3項は、事業主が、労働者の妊娠、出産、産前産後休業を取得したことや、厚生労働省令で定められている事由で不利益な取扱いをすることを禁止しています。

ポイント 派遣先にも、派遣法第47条の2により男女雇用機会均等法第9条第3項が適用され、派遣労働者が妊娠・出産・産休取得したこと等厚生労働省令で定められている事由を理由として、不利益な取扱いをすることは禁止されます。 たとえば、派遣先が派遣労働者の妊娠・出産、または産前産後休業取得を理由に派遣労働者が派遣就業可能であるにもかかわらず、 (1)派遣契約の更新を取りやめること、 (2)派遣先が派遣会社に派遣労働者の交代を求めること が禁止されています。

「個別派遣契約」を中途解除する場合

派遣先と派遣元間で締結される派遣契約と、派遣労働者と派遣元間で締結される派遣雇用契約は別個のものですが、派遣契約が中途解除されると、派遣元と派遣労働者との雇用関係にも大きな影響を及ぼし、雇用主として労働法上の種々の制約を受ける派遣元としては、派遣労働者に急いで他の仕事を確保するなり、休業手当などの措置を講じなければなりません。

平成24年の派遣法改正により、労働者派遣契約の中途解除によって、派遣労働者の雇用が失われることを防ぐため、派遣先都合により派遣契約を中途解除する場合の、(1)派遣労働者の新たな就業機会の確保、(2)休業手当などの支払いに要する費用の負担等の措置をとることが、派遣先の義務として定められました(法第26条第1項第8号、法第29条の2)。また、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第138号)でも、(1)労働者派遣契約の解除について派遣元へ事前に申し入れを行い合意を得ること、(2)派遣先における就業機会の確保を図ること、(3)派遣労働者への賃金補償を目的とした、派遣元への損害賠償を行うこと、(4)派遣元から請求があった場合に中途解除の理由を明示すること等が定められています。当社では労働者派遣基本契約において、派遣先の都合で派遣契約を中途解除される際には、その中途解除された派遣契約の残余期間に応じた額の負担をしていただく旨を定めております。万一、派遣契約を派遣先の都合で中途解除せざるを得ない事態が発生する場合には、派遣先は派遣労働者に直接伝えることなく、派遣元に、速やかに連絡し、これらの趣旨に沿って派遣先、派遣元双方の連絡を密にして対応を決定していくことが求められます(派遣先が派遣労働者に直接、派遣契約の中途解除について通知するとトラブルになりますので、ご注意ください)。

離職した労働者を派遣労働者として受け入れる場合

本来直接雇用とすべき労働者を派遣労働者として受け入れることで、労働条件が切り下げられている可能性があるとして、派遣先を離職して1年以内の労働者を、派遣先が受け入れることは禁止されています(法第40条の9第1項)。具体的には、派遣受入前1年以内に正社員、契約社員、アルバイト等の雇用形態を問わず、派遣先のどこかの事業所で(派遣就業予定の事業所に限りません)1日でも直接雇用されていた人の派遣受け入れが禁止されました。

また、派遣元から法第35条に基づく「派遣先への通知」を受けた派遣先が、その派遣労働者の派遣を受け入れると、離職後1年以内の労働者の派遣受入禁止に抵触するときは速やかにその旨を派遣元に通知していただくことになりました(法第40条の9第2項)。

平成27年の法改正により条番号が「40条の6」から「40条の9」に変更されました。

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